2005年08月28日

★人情は本当にビジネスに必要か?−「根本陸夫「勝者」のセオリー―根本式ビジネス32の秘策」

以前、人材のことで親友に相談した続きがきました。

球界地図を変えた、根本さんの2冊目の紹介です。

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以前、『日経ビジネス人文庫 球界地図を変えた男』を読んだことがきっかけで、
この本も買ってみました。この『球界地図を変えた男』の主人公が、故根本陸夫さんです。

この本では、根本さんの人生が綴られていました。

「あの眼光鋭い人だよなー。プロ野球の影の黒幕っぽいよなー。
でも、本当にいい選手が慕っているんだよなー。」という
なんとも言えない印象を持っていました。

しかし、この本を読んで持った印象は、
「人間くさい人だ」そして「希代の名策士だ」
というものです。
非常に「掴み所のない人」です。

この本を読んで思ったことはたくさんありますが、
「頭を使って、愚直にやり続けることによって、道は開ける」
「損な道と得な道があったら、損な道を取れ」
ということを学んだ気がします。

自分は自分のことを「ホント、不器用な奴だなー」とか「優柔不断な奴だなー」と
日々悩んだりします。
そんな自分には、「根本さんの人柄なのか、努力なのか、才能なのか、
なんでこんな劇的な人生を歩めるんだろう?」と思わずにはいられませんでした。

そんなことを考えていた時に、見つけたのが
「根本陸夫「勝者」のセオリー―根本式ビジネス32の秘策」です。

きっと「セオリー」なんてないと思うし、「秘策」なんてないということは
分かっているつもりです。
ただ、野球人としては苦労されながら、ビジネスマンとしては成功して行った
「根本さん」という人物が、一体どんな「考えと行動」で、ビジネスをしていたのかを
知りたくって、本を購入してみました。

ちなみに自分は本を選ぶ時、また「読む時」に、順番があります。

1.著者の略歴を読む⇒「見識」のある人かどうかを確認します。

2.目次にざっと目を通す⇒全体を通して「イイタイコト」を意識します。

3.はじめにを読みます⇒「本の意図・概要」が説明されているので、
  「A」の確認をします。

4.あとがきを読みます⇒「本の裏話・サプライズ」が説明されています。
「本の独自性」を確認します。


と1〜4のような印象を持っているので、これを本文を読む前に読むことで、
本の「概要と独自性」を把握して、安心してから、詳しく中身を読み進むことが
できるからです。

「面白そうか、面白くなさそうか、分からない」で読むのもいいのですが、
自分は本を「ハラハラしながら読む」というより、「安心して、じっくり読む」ということに
重きを置いているので、こんな読み方をしています。

今回もそんな読み方をしてみました。

本書は「早稲田経営学院の成川豊彦学院長の分析を、
新聞社から独立した由倉利広さんが構成した」ものです。

「はじめに」にこんなくだりがあります。

●『どうしたら人に信用され、大きな仕事ができるのか。
 根本氏の生きざまは、出世への最短距離とは言えない部分もあるだろうが、
 人としての歩むべき道と、仕事に望むための心得を示唆している』


「出世への最短距離」とは言えなかった根本さんの人生。
今の根本さんから、過去を振り返れば、
それは「成功」のために必要な経験だったのだとは感じます。

でも、「瞬間」を切り取ってみれば、「失敗」の連続だったとも言えるのが
根本さんの人生です。
それでも根本さんは、「できることからコツコツと」歩み続けました。

本当に仕事をしていると、「目標に向って、一歩ずつ進んで行くことの難しさ」を感じます。

もちろん、「大きな仕事」なんて、絶対にできないんじゃないか、と怖気づいてしまいます。
でも、根本さんは、「大きな仕事にむかって、人情を武器にしていました」

また、「はじめに」には、こんなくだりがあります。

●『人間というのは、環境によって大きく変わるものだし、
 集団は軸となる人間が変わるだけでムードが一変すると』


リーダーの必要性を説いているんですが、ここでは根本さんが、
西武、ダイエーという弱小球団を「常勝球団」にしていく過程が赤裸々に書かれています。

結果を急ぐことなく、じっくりと種を蒔き、育てれば、必ず花は咲くという哲学さえ
感じます。根本さんは「個性あるやんちゃ坊主」を好んで中心選手として起用し、
チーム作りをしていた様子がよく分かります。

自分は「やんちゃ」であり続けたいと思います。
日々の仕事に埋没したくはありません。
なんとか、なんとしても、夢を見て、夢に向って、仕事をして行きたいと思っています。
「無難な仕事」をしてしまっている自分を戒めるには十分な、根本さんの積極性を
感じました。

そんな根本さんの考え方を示すように、「本文」には、こんなくだりがあります。

●『選手たちの長所を見ようとする姿勢は、監督の資質にはマッチしていなくても、
選手を獲得したり、育てようとする時には絶対に必要な要素なのである。
過去の実績にとらわれず、長所だけを見ようとするから、
一番いいところを伸ばしてやろうとするからこそ、そこから個性が生まれてくる』


是非、本書を読んで、根本さんの人情と知恵が絶妙にブレンドされた
『浪花節的近代経営』のエッセンス
を学んで欲しいと思います。


◆━━━━━━━━━━━━━┓
  今 回 の ま と め
┗━━━━━━━━━━━━━◆

●:「根本陸夫「勝者」のセオリー―根本式ビジネス32の秘策」は、
  こんなときに読んでみたら?
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「人の心を掴むリーダーになりたい」「誰もやったことのないやり方で
勝負したい」
と思っている方にオススメ。

また「人情が大切なのは分かるけど、ビジネスに本当に活かせるの?」
思っている人にもオススメです。


●:すいすい読むためのコツは?
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
47ページ『【 8】朝令暮改を積極的に』は是非読んで見てください。

「一旦口にしたこと」にも「今まで前例がないこと」にも全く拘らず、
ドンドン変えて行く行動力に敬服します。

173ページ『【28】プロとしての社会的責任を自覚』

ここでは、新聞記者が「嘘・騙し」を使って、根本さんの秘密裏の行動を
スクープした際の模様が書かれています。それでも、根本さんは怒りません
でした。「企業努力」と評価したのです。
しかし一方で、「人を傷つける」ことには、烈火のごとく怒ることもあった
と書かれています。

昨今企業に問われている「CSR(企業の社会的責任)」。
それこそ、「虚偽・談合「人間としての倫理観」と「どんな手を使っても勝つ
という執念」のバランスの大切さ
を学べます。
posted by 23book at 00:25| Comment(0) | TrackBack(0) | スポーツ本に学ぶ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月20日

★金メダルもアイデア次第・・・陸上の走り高跳びに学ぶこと

4478760969.09(アイデアブック).jpg為末選手の、勝負への取り組みを読んだとき、別の話を思い出しました。

スポーツの本ではないですが、最近本屋の店頭でも目立つ
アイデア・ブック スウェーデン式」です。

この本のP28に、「メキシコ・オリンピックー既存の知識を無視する」という内容があります。

そこには、陸上の走り高跳びの話がありました。

1968年まで、2通りの跳び方しかなかった走り高跳びに、
今では常識となった「背面飛び」を編み出し
、ひそかに練習を重ね
見事金メダルを獲得した「フォスベリー選手」の話です。



もともと医学生であった彼は、既存の知識にとらわれず、
人体の構造を注意深く観察し、人より高く飛ぶ方法を
自らの頭で
考えました。

今ではほとんどの選手が背面飛びですね・・・

この章では、他にもスキーのジャンプの常識を打ち破った話もあります。

結局勝つためのいいアイデアを出すには、既存の知識の組み合わせ
「だけ」ではダメだということ。

自らの頭で、原理原則に忠実に、且つ
既存の知識にとらわれずに考え抜くことが大事だな、と再確認しました。


◆━━━━━━━━━━━━━┓
  今 回 の ま と め 
┗━━━━━━━━━━━━━◆

●:「アイデア・ブック スウェーデン式」は、こんなときに読んでみたら?
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 アイデアの出し方、を学べます。

 何か仕事で気の利いたアイデアが必要なとき、
 ざっとすべてのページを読んでみると、読み終わったときに
 アイデアが2,3浮かんできます。

 うすい本なので、すぐ読めますよ。でも内容はあついです。


●:すいすい読むためのコツは?
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 この本は最初から順に、すぐ読めます。

 ソファなどに座って、お酒片手に読んでみてください。
 読み終わると、すっきりしますよ。

posted by 23book at 23:13| Comment(1) | TrackBack(0) | スポーツ本に学ぶ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

★人材集めと組織づくりを学ぶ−球界地図を変えた男・根本陸夫

根本1.jpg
やりたいことは決まった。
さあ、メンバー集めだ! 人材募集だ!!と思っても
なかなか簡単にできません。

そんなとき、例によって親友に相談したところ、
根本さんの話をしてくれました。
おススメの本の書評も送ってくれたので、載せます。

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ダイエー(現ソフトバンク)王監督の前の監督で、
もう故人となってしまった根本さんではありますが、
あの眼光鋭い表情は忘れられません。

根本さんの表舞台での経歴は輝かしいものではありません。
選手生活は実働わずか4年。また、監督生活は11シーズンで勝率は5割に届いていません。


しかし、根本さんが指揮をとったチームは、
その後、必ず「黄金時代」を迎えています。


広島カープという財源の乏しく、市民からのカンパなどさえ集めていた球団で監督となり、
西武ライオンズでは堤義明オーナー、福岡ダイエーホークスでは中内功オーナーと、
希代のカリスマ経営者の元で、監督となりましたが、結果はイマイチ。

しかし、根本が監督を辞めた後、それぞれのチームは「常勝軍団」となります。

これは決して偶然ではなく、根本さんが「勝つための土台づくり」を
していたから
こそのことだと思います。

そして、その要となった戦略が、「人材の獲得」です。
それはある時は人情で、ある時は戦略的に、ある時は金に任せて・・・と、
数々の名選手を、他球団を「やられた!」と
悔しがらせるあっと驚くウルトラC で獲得しました。


そんな根本さんの生涯が綴られているのが本書です。
そして「人脈づくり、人材づくり、組織づくり」について
詳しく書かれています。

忙しい方は、
●「114ページ」の「ナイスガイ」
(秋山幸二という後の超一流選手のドラフト外指名)
●「158ページ」の「育てながら勝つ」(広岡から森への監督交代の裏舞台)
●「184ページ」の「ヘッドハンティング」
(根本さん自身が堤・西武から中内・ダイエーへと移った事情)
●「200ページ」の「事後承諾」
 (中内オーナーに承諾を得ずに実行した西武秋山の獲得)
●「223ページ」の「引き抜き」
 (西武工藤・石毛の獲得と進学が決まっていた城島の強行指名)

だけでも先に目を通して見てください。
根本さんの人材獲得のための秘策・奇策がつまっています。

そして、「人材への執念」「勝利へのこだわり」
「絶対にあきらめない気持ち」「可能性を信じる心」
が感じられます。

また、「105ページ」の「夢見たON対決」では、
「長嶋・西武 VS 王・巨人」の実現をも目指していた中、
「力があれば、殺したいほど憎いヤツでも使うのがプロ」と、
トラブルメーカーと危惧された広岡さんに監督就任を依頼した、興味深い話も。

本書は、根本さんの自伝に間違いない内容ではありますが、
彼がこだわった「人への考え方」が分かる完全な「ビジネス書」です。

「人をどう評価するか?どう獲得するか?どう育成するか?どうやる気をもって
もらうか?」などといったことに、新たな視点を求めているビジネスマンにお勧めです。

球界地図を変えた男・根本陸夫
日経ビジネス人文庫 浜田 昭八 (著), 田坂 貢二 (著)

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2005年08月19日

世界陸上 ― 為末に感動

親友に、今回の世界陸上はどうだった?とメールをしたみたところ、
「為末に泣いたよ」とコメント。メールもきましたので
ページにアップします。

「絶対読んで。マジ感動するから」(親友より)

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つい先日まで行なわれていた陸上の世界選手権。

終わった今、やはり記憶に残ったのは為末選手です。

しかも先日、TVで特集が流れていて、、、感動してしまいました。

レース後のインタビューでの涙。
でもどことなく、落ち着いた優しさを感じさせる雰囲気。
4年前の世界選手権での銅メダルの時は、「為末?誰それ?」って感じでしたが、
この4年間で、その活躍よりも、何かその「存在感」から、忘れることのできない、
注目の選手でした。

しかし、今回の銅メダルまでの道のりは、本当に。。。
以下に、その一端をご紹介します。


1978年広島県生まれ。身長170cm、体重66kg。
愛読書は新渡戸稲造の「武士道」。

陸上の中でも最も過酷な競技とされ、身長の大きい選手が有利とされる400mハードルの選手です。
2001年エドモントン世界選手権では、短距離・ハードル種目では五輪・世界陸上を通じて日本人初の銅メダルを獲得し、日本中を沸かせました。

当時は「結果を出して認めさせる。」ということばかり考えていたそうで、
エドモントン大会での銅メダル獲得が「陸上競技が好きだという気持ちを思い出させてくれた」
と言っています。

しかしそれ以降、思うような成績が残せずに悩む日が続きます。

そんな時。2003年7月20日。
父親の敏行さんが5ヶ月のガンとの闘病生活の後、54歳で亡くなりました。
敏行さんは死の直前、「やりたいようにやれ」ということを何度も言っていたそうです。

その言葉に背中を押されるように周囲の反対を押し切り、2003年に大阪ガスを退職。
安定した生活と別れ、プロ陸上選手となり、自ら退路を断ちました。

為末選手は言っています。
「当り障りのないコメント出している僕が嫌だったし、そんな風に生きているのも凄く嫌だった。
プロになった時が一番、何か全部吹っ切れた。
精神的に覚悟が決まるという点で、物凄く良かったかなと思っています。」


全てを捨て一人になり、倒れるまでトレーニングを行ない、
「これでいいのか」と自問自答を繰り返しました。

そうして向えたアテネ五輪。

シドニー五輪では、大会前に学生新をマークし、絶好調で臨んだ本番でしたが、
9台目を引っかけて転倒し予選落ち。「オリンピックの借りはオリンピックでしか返せない」と
言って臨んだアテネ五輪でした。しかし結果は、あえなく準決勝で敗退。

アテネ五輪の後、多くの選手が休養を取る中、為末選手は、
「失敗したからって、仕事をやめちゃいけないでしょ」と準決勝の翌日から練習を始めます。

しかし次の北京五輪で雪辱を期すためには、
今よりもっと厳しいトレーニングを積まなくてはなりません。

05年2月高地合宿を敢行。

心肺機能の強化を目的として行われる高地トレーニング。
その効果は中長距離選手に限定されるというのがこれまでの定説でした。

しかし、為末選手はその常識を覆そうとしたのです。

「もうないんですよね、手段が。平地でできることが。
アテネ前の練習は質量ともに極限に近く、これ以上ハードな練習をすれば体が壊れてしまう。

でも、高地トレーニングは1分を超える競技でないとなかなか効果がないと言われていたんです。
でも、標高2100mでの生活とは、朝起きただけで脈拍が100を超えている状態で、
肝機能とか内臓の働きが悪くなるし、トレーニングの回復も遅かったですね。
200mも走ればたちまち息が上がる。

だったらこの空気の薄い高地で練習すれば、例え練習量は少なくても、
平地以上の負荷をかけることができる。言い換えれば、膝などへの負担も軽い。

つまり、故障やケガの危険性を最小限に抑えながら、
よりハードな練習が可能になると思ったんです」

また、この高地合宿中に訪れたグランドキャニオンのあまりの壮大さに為末選手は、
ちっちぇーなー。走って吐いたくらいちっちゃいですよね。足が痛いとか腰が痛いとか・・・。
それに人間なんて、たかだか100年くらいしか生きてない。
こういうのを見たら、人間の力ではどうしようもないものもあると思うじゃないですか」と。

しかし、今年の大阪国際グランプリでは、3年間国内選手に無敗だった為末選手は、
100分の1秒差で敗れました。

そうして向えたヘルシンキ世界選手権。
決勝へは最後の準決勝8位というギリギリでの進出です。

レースの3時間ほど前から、雷の轟音と共に、雨がトラックをたたきつけていました。
一旦は中止の情報も流れていましたが、約2時間の中断の後に競技は再開されました。

そんな状況で若い選手は荷物をまとめたり、アップを始めたりと明らかに動揺していましたが、
正確な情報が流れるまで、じっと待機していたのは、
ベテランのフェリックス・サンチェス(ドミニカ)と為末選手だけ
でした。

いよいよ決勝の時が訪れます。

一旦は止んだ雨も、スタート直前で再び激しく降り始めました。

そして、スタートの時。

フライング。

若い選手たちの顔が更に険しくなり、集中力もそがれています。

やり直し。
再び一瞬の静寂。

そして、スタート!!

小細工なしの真っ向勝負。
前半から飛ばして行きます。

テレビでは会場に来ていたお母さんも写っていました。
スタートしても、下を向いて、殆ど見ていません。うつむいて祈るように。。。

そして、自らのスタイルをゴールまで貫き通し、
ゴールでは前のめりになって、最後は倒れこみながら一回転。

そして、「前転するつもりでいた。骨が折れるぐらいだったらいいやと思っていました」と
執念でメダルを奪い取りました。

片手を突き上げ、喜ぶ為末選手。泣いています。
お母さんも泣いています。
そして「あの子が本当に死ぬ気で走っているのだけはわかりました」と。

為末選手のレース後のインタビューの一部です。

Q.決勝には8位で進出でしたが、奇跡のレースでした。
為.実力的には8番だと思うんですけど、何かが起きたとしか言いようがないと思います。
根性だったと思います。

Q.4年前の銅メダルと比べて、どちらが嬉しいですか?
為。両方嬉しいですけど、4年前の銅メダルはただの嬉しい銅メダルですけど、
この4年間の苦しさが乗ってますから・・・重たいです。

Q.この4年間色々ありました。
為.父親に・・・渡せれば・・・父親に渡せれば良かったんですけど・・・
間に合わないってことはないと思うので・・・父も喜んでくれていると思います。

Q.ゴールして、お父様のことを考えましたか?
為.自分のメダルと思って走ってたら、ここまで走れなかったと思うので・・・
父のおかげじゃないかなと思ってます。

Q.4年前にメダルを獲った時、もう一つ、お父様にとらなきゃなとおっしゃってましたよね。
為.実際に渡すことはできなかったですけど、父親のためにと思って獲ったので、
僕のメダルじゃないと思ってます。

為.1%もないかなと思ってたんですけど、雨が降って、風が吹いて、グラウンドが濡れて、
とんでもないことが起きないかなと昨日から考えてたんですけど、
なにか怖いくらいに、朝からひとつひとつ当たっていって。
奇跡というか、何かが起きたとしか思えないです。

僕も7番に入れるかな?って思ってたんですけど、
レース時間が遅れたり、雨が降ったりしてきて。

その時に若い選手の心が揺れてるのが見えたので、勝負師というか血が騒いでて。
勝負賭けてみようっていって、うまくいって良かったです。

Q.最後の粘り、あなたしかできないと思います。
為.体力が残っていたとかのレベルではなくて、死ぬ気で行こうと思って。
日本人の魂としか言いようがないかなと思います。


本当にこの4年間は苦しかったんだと思います。
その先に、人前で「死んでもいい」と言えるだけの、覚悟が生まれたのかもしれません。
「死」なんて言葉を使うのは、現代では流行らないことかもしれません。
でも、なぜか、為末選手が言うのを聞いていると、
「この人。本当に思っているんだろうな。かっこいいよな。」と思ってしまいます。

それはきっと、お父さんやお母さんへの感謝の気持ちから出ている言葉だからかもしれません。
そして、不安を抱えながら、自分を信じ進んでいる決意を感じる言葉だからかもしれません。

為末選手は世界大会をこう評しています。
「お金じゃなくて、プライドを賭け合う、世界で一番大きな賭け事の場。
ちょっとのことで順位が変わるし、実力云々よりは、勝負にいたる心境みたいなもので変わる」

そして、
「死ぬ気で走る選手はいっぱいいるでしょう。
でも本当に死んでもいいと思ってるのは僕だけでしょう(笑)」
と。

本気の男は顔が違う、そしてココロが違うと思いました。

為末選手、おめでとう。
posted by 23book at 10:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 最近のスポーツをみて | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月08日

人を動かすものは「この人の役に立ちたい」という想い−ジーコイズム

ジーコイズム〜すべての日本人そしてサッカーを愛する少年たちへ捧げる〜


「心が潤う人生でありたい」と思いながら、
何か息が詰まるような、心が枯れるような毎日。

でも、気持ちだけはあるんですよね。

「日本一になってみたいなー。。日本の役に立ちたいなー。。」と

思ったりするんです。
だから、日本代表の試合になると、なんとも自然と応援したくなります。


そして、今。

日本代表の監督と言えば「ジーコ」ですよね。

巷ではジーコ監督に対する評価は「賛成派と反対派」に分かれたりします。

ジーコが監督としてどうか?という議論はいろいろあるとは思うんですが、
僕はジーコが好きです。

何か熱いものを感じます。きっと日本が好きなんだろうと感じるからなんです。

そこで、この本を読んでみたくなりました。

タイトルは

ジーコイズム〜すべての日本人そしてサッカーを愛する少年たちへ捧げる〜です。

「すべての日本人」そして「少年たち」へ贈るジーコのメッセージは何か?

ジーコはJリーグができる前に日本に来ました。
でも、一度は引退し、スポーツ大臣を務めた後での来日です。

ジーコ自身としては、現役に復帰することも、まして日本に行くことも、
微塵も考えていなかったそうです。

しかし、ジーコがスポーツ大臣を辞める頃、ある日系人の友人がジーコには秘密で、
あることを始めていました。

その友人は日本のサッカー関係者と会い、「ジーコ、現役復帰」という話を進めていました。

そして、その友人からジーコに「日本でプレーする話がまとまった」という連絡が来たそうです。

では、なぜ、ジーコは日本に来たのか?

その話しは「ジーコという一流選手への誘い」ではなかったのです。
ブラジルから遠い日本というサッカーの文化がまるで根付いていない小さな島国から、
しかも茨城県の鹿島という名前も聞いたことのない小さな街から、
「サッカーを使って、この街を活性化したい」という思いのこもった誘いだったのです。
そして、現在はアマチュアリーグだけしかないけれども、本当に近い将来、「プロリーグ」が立ち上がり、日本にサッカーという文化を作り上げるためには、ジーコの力が必要だったのです。
そして、ジーコが思う最良の人生とは、「何かを成し遂げたという達成感」が存在するものであり、
このチャレンジによって、そのことを伝えられると思ったからなのです。

ジーコはブラジルでは「世界各国から子どもたちを受け入れ、サッカーを教えながら青少年の教育を
しよう」という思いの元、ジーコ・フットボールセンター」を経営しています。

つまり、ジーコの夢というのは、「スポーツを通して世の中に貢献したい」というものなのです。


ここを読んで思ったこと。

先ず鹿島の人はよくジーコをよくも誘ったなということです。
ちょっと考えてみれば、自分だったら「そんな超一流選手に依頼するなんて・・・」と
尻込みをしてしまいそうです。

でも、「思いを込めて、話はしてみるものだな」と思いました。

もうひとつは、人を動かすものは、「この人の役に立ちたい」という思いなんだなということです。
自分も考えてしまいます。自分は一体誰の役に立ちたいのかと。


例えば、このブログ。
「一人でも多くの方に、スポーツを通して、仕事での悩みを晴らして欲しい」と
思って書いています。


自分も「人の役に立てる人」になりたいと思います。


しかし、そんなジーコにも不安はたくさんありました。
1)当時38歳。90分間もフィールドで戦えるのか?
2)持病のひざの故障は何とかなるのか?
3)言葉も通じない、文化も違う国で、家族は幸せに暮せるのか?
4)子供の教育は大丈夫なのか?
などなど、、、様々な不安があったそうです。

それでも、ジーコは日本に来ました。

日本では東京の世田谷に住んでいました。
鹿島までは片道3時間。渋滞がなくても、車で一時間半はかかる距離です。
(世田谷に住んだ理由は家族から要望もあったそうです)

希代のスーパースターはひたすれ鹿島に向かい、チームを作っていきました。


ここを読んで思ったこと。

どんな人にも「不安」はあるんだな。「大変」なことはあるんだな。
それをどう受け止めるか、乗り越えるかは、その人の「決意」の問題なんだ、ということです。

最近思うことですが、「辛くなった時にこそ、どれだけ人のことを考えられるのか?」ということで、
人生が変わってくるのではないかと思います。

「これ以上やったら利益がなくなってしまう。どうしよう。。。」
「やってもうまく行くか分からないしなー。。。」
「夢を追いたいけど、大変だよなー。今のままで何不自由ないし、まーいっか。。。」
などなど、「心の揺れ動き」が、仕事や生活のシーンでは度々やって来ます。

そんな時こそ、どれだけ、「人を大切に思えるか」だと思うんです。
そしてそれこそが、「自分を大切にしている」ということを思わせてくれました・。


来日したジーコが日本で感じたことは、「基本ができていない」ということでしたが、
それを徹底して鍛え上げ、わずか数年で弱小アントラーズをJリーグの最初のシーズンの
優勝チームへと変身させてしまいました。

そんな鹿島の選手はジーコが見る限り、テクニックは世界のどこに出しても恥ずかしく
ないものになっていると言います。
体力面で言えば、怪物的と言っていいくらい日本人は体力があると言います。

そんな日本とブラジルの力の違いはどこから生まれているのでしょうか?

日本人はいつも「失敗したらどうしよう。。監督に怒られるのではないか。。」という
不安が生まれます。
そして、日本では一番にならなくても尊敬されることがあります。

一言で言えば「集中力と自信の差」が結果の違いを生んでいるのだと言っています。

つまり。勝負に対する姿勢や気持ちの部分で、日本とブラジルの間には明らかな
違いがあります。

しかしジーコは、この日本人のメンタリティーが変化して行けば、日本がW杯で
優勝できる可能性さえあると言っています。


ここを読んで思ったこと。

「集中力と自信」。言ってしまえば、とても簡単な言葉です。

しかし、これを突き詰めることって、簡単ではないな、と。
むしろ、とても難しいことのように思います。

それこそ、「根拠のない自信」だったり、「ただのやる気」だったり、
「口先だけの決意」だったり、そういうものだったら、いくらでも、誰でも、「言えます」。

でも、でも。。。

それを「人に胸を張って言えるくらいやる、揺るぎない思いを持ってやる」ことって、
この他難しかったりします。

「できない理由」を言ったって始まらない。「できない理由」なんていくらでも出てくる。

しかも、それは全て「自分の甘え」によるものなわけで。。。

自分も自信をもって戦いたいと思います。

そのためには、毎日毎日を大切にし、集中して行き、「なんとしても夢を実現したい」と思います。



◆━━━━━━━━━━━━━┓
  今 回 の ま と め 
┗━━━━━━━━━━━━━◆

●:ジーコイズムは、こんなときに読んでみたら?
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

「自分は恵まれていない環境にいるんだ」とか「自分だけが大変なんだ」なんて思って、
自分ばっかりがかわいくなって、そして自分だけに一杯一杯になって、
広い心や大きな志が持てなくなっていたら、是非、手にとって読んでみてください。


●:すいすい読むためのコツは?
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

83ページ〜109ページの「第二部 これが勝利の法則だ。」の
「第4章 なぜ泥だらけのスパイクを放置するのか」
「第5章 困難な状況でこそ冷静になれ」が一番面白いと思います。

その中でも、第5章の「攻める時の集中力と自信が欠如している」と
「厳しい注文が人を伸ばす」は必見だと思います。
posted by 23book at 23:09| Comment(0) | TrackBack(0) | スポーツ本に学ぶ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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