2005年12月31日

●迷える名将は選手に救われる?−箱根駅伝(3)

●1999年・第75回大会・往路 〜 9区、復活・逆転 〜

一方、順天堂大学。

1993年の第69回大会では、2区で、順大のエース・本川一美が右足疲労骨折。
何とかタスキは繋いだものの、区間最下位の大ブレーキで、総合9位。

1995年の第71回大会では、10区のアンカー・浜野健が左足疲労骨折。
そのままリタイア。そして、33年ぶりのシード落ち。

沢木監督は「私の練習法も古いのかな」と感じたそうです。

なぜこうまで、「大切な大会」に向かっているのにも関わらず、
ここまで「疲労骨折」が起きてしまうのでしょうか?
箱根駅伝に止まらず、あの女子マラソンの高橋尚子選手も、
何度も何度も、怪我で大会を棄権しています。

先日の東京マラソンでは、見事優勝し、復活の姿を見せてくれましたが、
直前まで、「出場は難しい」というトレーナーの声はあったと聞きます。
しかし、その制止を振り切り、高橋選手は強行に出場をしたのです。

「限界を超えた練習をしている以上、常に万全な状態などあり得ない。
 それでは勝てない」
と言います。

やはり、勝負に挑むということは、リスクはつきものであるのでしょうか?

しかし、迷える名将は、学生陸上界ナンバー1の選手に成長したエース・三代直樹選手を見て、

「自分のやり方は間違っていない」

と、自分のやってきたことを再確認し、自信を持てたと言います。


そして、1999年の第75回大会。

三代選手は、往路、花の2区、栄光の2区に出場。

かつて天才瀬古利彦(当時早大)さんも走った最長区間。
区間記録は、渡辺康幸(当時早大)さんが持っている第71回大会の記録。

史上最長の11年間もの長い間、それまで何人もの大学長距離界のエースが挑戦しては、跳ね返され、
誰も破ることのできなかった不滅の大記録「日体大、大塚正美の1時間7分34秒」。
この記録に渡邉選手は挑み、これを破って、
一気に1時間6分48秒という大記録を打ち立てていました。

しかし、この記録を、166センチ、52キロの小柄な三代選手が、
1時間6分46秒で打ち破り、驚異の区間新を打ち立てたのです。


三代選手はこう言っていました。

「区間新なんて今でも信じられない。今日は陸上生活の中で一番うれしかった」

しかし往路は、
駒大のエース・藤田敦史(4年)が4区で1時間0分56秒の区間新記録をマークするなどの活躍で、
2位順大に1分50秒の差をつけて、駒大が史上初の往路優勝。

順大は駒大に敗れはしました。

しかし、一度は、自信をなくした名将を、小柄な三代が救いました。

そして「全員が目いっぱいの力を出してくれた。100点に近いできでしょう」と語った沢木監督の目は、かすかに潤んでいました。


そして、雌雄を決する復路。

順大はトップ駒大を追います。

そして、いよいよゴールまで、あと2区間となった第9区。

順天堂大学の高橋謙介選手(2年)は、トップ駒大を追って走り始めました。

差は58秒。約300〜350メートル。

高橋選手は、3ヶ月前の10月の出雲選抜、11月の全日本両駅伝では、
それぞれ8位、12位と大ブレーキ。
しかし、沢木監督は「練習での強さが抜群。タフな選手」と、
この箱根では9区の復路のエース区間に起用。

タスキを受け取った高橋選手は一気に加速。
最初の1キロで駒大・北田選手との差を48秒に縮め、1.2キロではその差を34秒に。

その後も、差は見る見る縮まって行き、ついに10.2キロでその差は2メートルとなります。
ぴたりと並走する両選手。

しかし、ここで勝負に出ます。

高橋選手が16.7キロでスパート。


グングン加速します。
北田選手は付いて行くことができません。

高橋58秒差を大逆転。
そして、高橋選手は北田選手を1分33秒引き離して、アンカーに繋ぐ最後の中継所、
鶴見中継所に飛び込んで来ました。

順大は、そのまま逃げ切り、10年ぶり9度目の優勝。
戦前の下馬評は高くなかったのですが、「駒大有利」の下馬評を覆しての優勝でした。

箱根駅伝史上、9区での逆転優勝は、今回の順大で9回目。
そのうち、順大は82、86、89年に続いてなんと、4回目。
これが、「復路の順大、逆転の順大」と言われる所以です。
そして“沢木マジック”が鮮やかによみがえりました。
順大の沢木監督が、東京・大手町の読売新聞社前で宙に舞ました。そして、こう語りました。
「長かったですね。優勝できるなんて、夢のようだというのが本心です」。

一方、駒沢大学は、無念の2年連続2位。

走り終えた北田選手は
「箱根に勝ことだけを考えてやってきた。みんなに迷惑をかけた」と
人目もはばからず号泣していました。

そして、この翌年第76回大会。駒大は、念願の初優勝を果たします。

なぜだか、「逆転」という言葉が、心にしみます。
posted by 23book at 15:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 最近のスポーツをみて | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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